A creative studio focused on brand strategy,
visual identity, CGI, key art, packaging, and film.
シーバスリーガルは1801年創業のシーバス・ブラザーズ社が製造するウイスキーブランドです。現在世界100以上の国や地域で愛飲され、スコッチウイスキーの象徴とも称されています。その芳醇でまろやかな味と香りは、芸術的なブレンディング技術によって代々受け継がれています。
シーバスリーガルは2023年にブランド史上最大級となるパッケージデザインの刷新を行いました。そのタイミングで各商品のキービジュアル及びデザインルールも見直す必要が出てきました。 なぜなら刷新されたのはパッケージデザインだけでなく、VIおよびブランドコンセプト全体にまでおよび、ブランドのターゲット層も大きく変更されることになったためです。以前はオーセンティックで重厚な世界観でブランド全体が統一されていましたが、より若い世代にアプローチすべく、華やかで若いパワーを感じる世界観で統一していくことが求められました。
シーバスリーガル史上最大のブランドリニューアルプロジェクトのうち、ZYLAが担当したのが「シーバスリーガル ミズナラ」のキービジュアル制作および世界観の構築、デザインルールの制定でした。「シーバスリーガル ミズナラ」は12年以上熟成したモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドし、 その一部を日本原産の希少なミズナラ樽でフィニッシュして仕上げているウイスキーです。つまりシーバスブランドの中でも日本と特別な繋がりを持つ商品が「シーバスリーガルミズナラ」というわけです。
キービジュアル
シーバスリーガルの多彩なラインナップの中でミズナラの持つ個性は「日本原産のミズナラ樽で仕上げている」ということです。そのため他のシーバスの商品にはない「日本らしさ」をいかにビジュアルで表現していくかが重要でした。まず日本のクリエイティブチームは「日本らしさ」をビジュアル化するにあたり、ミズナラブランド全体のデザインコンセプトを設定することから始めました。そして、”他国の文化や新旧の文化を融合させながら独自の進化を遂げてきた日本文化”を「ENERGETIC FUSION」、”伝統工芸品などに見られる緻密で繊細な日本の職人技”を「CRAZY PERFECTIONISM」と捉えコンセプトとして位置付けました。このコンセプトに基づき作成されたキービジュアルは、日本の木彫り職人により彫られた彫刻と、ネオン菅で形作られたシーバスのシグニファイアの融合により「ENERGETIC FUSION」と「CRAZY PERFECTIONISM」を表現しています。木彫りのモチーフにはパッケージデザインにも使用されている文様があしらわれており、手作業ならではの味わいがビジュアル全体にリアルさと奥行きを与えています。
ブランドムービー
プロモーションムービーという位置付けで制作されたこの映像は、キービジュアルで作られた世界観やモチーフを踏襲しながら、味わいや飲み方を紹介するシーンを入れていくことが求められていました。端正に組まれたタイポグラフィとテンポ良く構成された映像で情報は確実に伝え、東京の夜景のタイムラプスや木彫りの風景をスパイスとして散りばめることで「ENERGETIC FUSION」「CRAZY PERFECTIONISM」のムードを盛り上げています。
ビューティーショット
スコッチウイスキーアンバサダーのサイモン氏が考案したカクテルレシピとのフードペアリングでは、和食をよりデコラティブにアレンジし、シーバスリーガルの世界観との調和を図りました。赤提灯が並ぶ飲み屋街での撮影ではミズナラカラーのライティングをアクセントとして施しています。ビューティーショットはSNSで使用されることが前提とされていたため、ビビットな色使いとインパクトのあるビジュアル作りが重要だと考えました。やや非現実的にも思えるビジュアルづくりを目指したことは結果的にシーバスの目指す世界観にもマッチし、多角的で強いコンセプトを持ったビジュアル群となりました。
スタイルガイド
キービジュアルやムービーで使用したエレメントやフォント、カラーを定義しガイドライン化することで、全世界でさまざまな媒体に展開された時でも統一されたトーン&マナーを保ち、多くの人の目に届けることができます。しかし、今回最小サイズや使用禁止例など細かい設定までは規定せず、ある意味各国・各所のデザイナーの判断に委ねる形になっています。それはある程度の余白を残すことで世界各国の特殊で想定できないケースでも対応できるようにするためです。
私たちの関わった本プロジェクトの一連の制作物はシーバス・ブラザーズ社から非常に高い評価を受け、現在世界100以上の国で使用されています。東京の小さなオフィスで生み出されたデザインが海を渡り世界中の多くの人の目に触れられることに私たちは大きな喜びを感じています。